させて泣きました。婆さんも手の着けやうが無いといふ風で、一層腹を立てまして、復た私を無理やりに背中に乘せ、家の方へ送り返しに來ました。
斯樣な風で、容易に私の心は解けませんでした。到頭お霜婆の方から私の好きな羊羹を持つて仲直りに來ました。其時私は裏の井戸のところに立つてお牧が水を汲むのを見て居りましたが、お霜婆の仲直りに來たことを聞いて、お牧に隨いて母屋の方へ行きました。斯の婆さんと以前のやうに口を利くやうに成る迄には、大分私には骨が折れました。
四
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『もし/\龜よ、龜さんよ、
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世界のうちにお前ほど、
歩みの遲鈍《のろ》いものは無い――』
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無邪氣な唱歌が私の周圍《まはり》に起りました。私は二人の子供を側へ呼びまして、
『さあ、お前達は二人とも龜だよ。父さんが兎に成るから。』
『父さんが兎?』と兄の子供は念を押すやうに私の顏を覗き込みました。
『アヽ、龜と兎と馳けくらべをしよう。いゝかい、お前達は龜だから、そこいらを歩いて居なくちやいけない。』
お伽話の世界の方へ直に子供等は入つて行きまし
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