にした水飴を私に買つて呉れたのも、斯の婆さんでした。しかしお霜婆の可愛がりやうは、太助やお牧などと違つて、どこか煩《うるさ》いやうなところが有りました。どうして、ナカ/\御世辭ものでした。
斯のお霜婆に就いて、私は片意地な性質を顯はしました。お霜婆の家でも毎年蠶を飼ひましたが、ある時私は婆さんの大切にして居る蠶に煙草の脂《やに》を嘗《な》めさせました。斯の惡戲《いたづら》は非常に婆さんを怒らせました。その時から私は婆さんと仲違《なかたが》ひして、婆さんの家の前は除《よ》けて通り、婆さんが家へ來て言葉を掛ける時でも私は口も利かなく成つて了ひました。子供ながらに私はそれを六十日の餘も續けました。
そのうちに村の祭が來ました。私は銀さんとお揃ひで黒い半被《はつぴ》を造つて貰ひました。背中に家の紋を白く見せたものでした。火の用心の腰巾着もぶら下げました。折角《せつかく》祭の仕度が出來た、仲直りがてらお霜婆に見せて來るが好からう、と兄が言つて、嫌がる私を無理やりに背中に乘せ婆さんの家へ舁《かつ》ぎ込みました。兄に置いて行かれた後で、婆さんが何と言つても私は聞入れませんでした。私は足をバタ/\
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