見てるから大丈夫だ。』
 と私が言ふと、少年はそれも左樣だといふ顏附で笑つて、手に一ぱい握り締めて居た銅貨を柳の根元のところに置いて、復た一つ二つ藝を遣りました。身體の中心を兩手だけで支へて、土の上を動き※[#「えんにょう+囘」、第4水準2−12−11]りなぞして見せました。
 斯ういふ少年に稼がせて世渡りするらしい日に燒けた女がそこへ通りかゝりました。間もなく少年は掌の土を拂ひ、赤い布で頭の上の小さな獅子を包んで、その女の後を追ひました。
『兄さんも來れば可いのに、お獅子が見られるのに。』
『ネ、角兵衞見たつて、左樣言つてやりませう。』
 私は弟の方の手を引いて歸りました。
 家の門口まで行くと、兄の方が飛んで來て、獅子を見せなかつた不平を頻りに並べました。弟は又、身振手眞似をして兄を羨ましがらせました。
『ア、好いナア。』
『來れば可いぢやないか。』
『何故兄さんは一緒に行かなかつたの。お獅子が見られたのに。』
『父さん、そのかはり蜜豆買つて――』
『蜜豆なんか止せ。』
 私は子供を連れて家へ入り、茨城の方から貰つたばかりの粽《ちまき》を分けて呉れました。青い柔かな笹の葉で面白く包
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