。船宿などのゴチヤ/\並んで居るところです。投網《とあみ》も乾してあります。そこで私は小船を借り一人の子供を乘せて水の上を漕ぎ※[#「えんにょう+囘」、第4水準2−12−11]つたこともあります。河岸へ行く度に、子供はそれを言出して、復た船に乘りたいと強請《ねだ》りましたが、今日は止さして、一緒に柳並木の下を歩きました。ふと私は十二三ばかりの獅子を冠つた男の兒が本所の方へ歸つて行くのに出逢ひました。
『オイ、そこンところで一つ遣つて見て呉れないか。』
 私は呼び留めまして、袂から二錢銅貨を二つ取出して渡しました。
『御覽、角兵衞だよ。』
 と小聲で言つて聞かせますと、子供も石の柵に倚凭《よりかゝ》つて眺めました。
 人通りの少い靜かな柳のかげで、雪袴《ゆきばかま》のやうなものを穿いた少年が柔軟《やはらか》な身體を種々に動かして見せた。兩足で首を挾む、逆《さかさ》に蜻※[#「虫+廷」、381−1]返《とんぼがへ》りする、自由自在にやりました。少年は細い瘠せた、曲藝の爲に成長《しとな》れないやうな身體をして居ました。
『お錢《あし》を持ちながら遣るのかい。そこに置いたら可いぢやないか。私が
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