な顔ばかり。その人の晩年にはとかくの評判のあった青山半蔵ではあるが、しかし亡《な》くなった後になって見ると、やっぱりお師匠さまはお師匠さまであったという話が出る。星移り、街道は変わって、今後お師匠さまのような人はこの山の中には生まれて来まいとの話も出る。お粂らの到着と聞いても、一同はすぐ墓地を離れようとしなかった。その中でも清助は深いため息をついて、
「あのお師匠さまも、しまいにはずいぶん人をてこずらせた。楠正成の屎合戦《くそがっせん》だなんて言い出して――からだを洗ってあげたいにも、手のつけようもない。あんな困ったこともなかった。よくあれでなんともなかったものだと思う……今になっておれも考えて見ると、あのお師匠さまの疳《かん》の起こってる時には、何をなすってもからだに障《さわ》らなかった。すこし気分も静まって来たかと思うと、今度はからだの方が弱っていらしった……」
と清助は清助らしいことを言い出す。年若な三郎はその話を引き取って、
「でも、お師匠さまも惜しいことをした。もうすこしからだが続いたら、あんな木小屋から出してあげられたんだ。そりゃだれがなんと言ったって、お師匠さまのような
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