、それから今の伏見屋主人には祖父に当たる金兵衛、先代伊之助、それらの故人となった人たちが永《なが》く眠っているところである。ゆうべの雨にぬれて、ある墓石はまだ湿り、ある墓石はかわきかけていたが、そのそばを通り過ぎて杉の木立ちも尽きたところまで行くと、新開の墓地から立ちのぼる焚火《たきび》の烟《けむり》が目につく。旧本陣の下男佐吉は百姓の兼吉や桑作を墓掘りの相手にして、そこに働いていた。
ちょうど勝重らがその位置に行って立って見た時は、一歩《ひとあし》先に見回りに来ている清助とも一緒になった。寺から譲られたその畠の地所もすでにあらかた地ならしを済まし、周囲の藪《やぶ》も切り開いてあって、なだらかな傾斜の地勢から谷の向こうに恵那山麓《えなさんろく》の馬籠の村を望むこともできる。この眺望《ちょうぼう》のある位置はいかにも師匠にふさわしいと言って、よい場所が手に入ったとよろこぶものは、ひとり勝重ばかりではなかった。兼吉や桑作までときどき鍬《くわ》を休めに焚火のそばへ来て、お師匠さまの墓|掃除《そうじ》にはまた皆で来てあげるなぞと語り合うのであった。饅頭《まんじゅう》のかたちに土を盛り上げた新
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