のにも別れ、小屋の入り口に鎌《かま》を研《と》いでいた佐吉にも声をかけて置いて、まず付き添いのもののいる別室の方に父が目をさますまで待った。持って生まれた濃情が半蔵のからだからこんな気の鬱《うっ》する病を引き出したのか、あるいは病ゆえにこんなに人恋しく思うのであるか、いずれともお民には言えないとのことであったが、彼女は夫が遠く離れている子にもしきりにあいたがって、東京の和助のうわさの出ない日もないことなぞを娘に語り聞かせる。お民はまた、この木小屋に移ってからの半蔵に部屋のなかを人知れず歩き回る癖のついたことを言って、あちこち、あちこちと往《い》ったり来たりする夫の姿を見かけるのは実に気の毒だと語るから、それは父の運動不足からであろうとお粂が母に答えて見せた。そのうちに裏の竹藪へ来る風の音にでも目をさましたかして、半蔵の呼ぶ声がする。お粂は母について父の臥《ね》たり起きたりする部屋にはいった。親子のものが久しぶりでの対面はその座敷牢の内であった。
その時、お粂は考えて、言葉にも挙動にもなるべく父を病人扱いにしないようにした。それが半蔵の心をよろこばせた。彼は物憂《ものう》い幽閉の身を忘
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