走って来る二人《ふたり》づれの旦那衆がある。見ると二人とも跣足《はだし》で土を踏んでいる。両手を振りながら歓呼をもあげている。その一人が伯父《おじ》の寿平次だった。長い痔疾《じしつ》の全治した喜びのあまりに、同病|相憐《あいあわれ》んで来た伯父たちは夢中になって河岸をかけ回り、互いに祝意を表し合っているというところだった。
お粂と供の手代が着いたのを見ると、寿平次は長い病苦も忘れたように両手をひろげて見せ、大事な入れ歯も吹き出さないばかりに笑って、付近の休み茶屋の方へお粂らを誘った。
「お粂はこれから馬籠へ行く人か。お前も御苦労さまだ。まあ、おれの家へ寄って休んで行くさ。」
「伯父さん、宗太も福島の方へ戻《もど》ってまいりましてね、馬籠のお父《とっ》さんのことはいろいろ彼《あれ》から聞きましたよ。」
「そうかい。宗太は吾家《うち》へも寄って行った。正己《まさみ》もね、あれからずっと朝鮮の方だが、おれの出した手紙を見たら彼《あれ》も驚くだろう。二、三日前に、おれも半蔵さんの見舞いに行って来た。」
「なんですか、伯父さんの御覧なすったところじゃ、お父さんのようすはどんなでしょうか。」
「
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