はことに見張りに働いてもらうこと、それらはすべて馬籠での知恵者と聞こえた新助が考案に出た。
いよいよ一同の評議は一決した。そのうちに秋の日も暮れかかった。栄吉らの勧めとあって、青山の家族の人々も仲の間に立ち会えという。このことを聞いたお民などは腰を抜かさないばかりに驚いて、よめのお槇《まき》に助けられながらかろうじて足を運んだ。そこへ半蔵が店座敷から清助に連れられて来た。
「お父《とっ》さん、子が親を縛るというはないはずですが、御病気ですから堪忍《かんにん》してください。」
と半蔵の前にひざまずいて言ったのは宗太だ。
今や半蔵を縛りに来たものは現在のわが子、血につながる親戚、かつて彼が学問の手引きした同郷の人々、さもなければ半生を通じて彼の望みをかけた百姓たちである。彼はハッとした。
「お前たちは、おれを狂人《きちがい》と思ってくれるか。」
彼は皆の前にそれを言って、思わずハラハラと涙を落とした。その時、栄吉の手から縄を受け取った宗太が自分の前に来てうやうやしく一礼するのを見ると、彼はなんらの抵抗なしに、自分の手を後方《うしろ》に回した。そして子の縄を受けた。
九月末の夕やみ
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