も加えに来るものを用心するかのようなばからしくくだらないことを考えて、この寺道を踏んで来たろうと、自分ながらも笑止に思った。松雲は茶菓なぞを徒弟僧に運ばせ、慇懃《いんぎん》に彼をももてなした。ふと彼が気づいて見ると、この寺で出す菓子の類にも陰と陽とがある。彼もほほえまずにいられなかった。まだ客の顔はすっかりそろわなかったから、そこに集まったものの中には、庭の見える縁側にすべり出、和尚の意匠になる築山《つきやま》泉水の趣をながめるものがある。夕やみにほのかな庭のすみの秋萩《あきはぎ》に目をとめるものもある。その間、半蔵は座を離れて、寺男から手燭《てしょく》を借りうけ、それに火をとぼし、廊下づたいに暗い本堂の方へ行って見た。位牌堂に残してある遠い先祖が二本の位牌を拝するためであった。
間もなく方丈では主客うちくつろいでの四方山《よもやま》の話がはじまった。点火《あかり》もわざと暗くした風情《ふぜい》の中に、おのおの膳《ぜん》についた。いずれも草庵《そうあん》相応な黒漆《くろうるし》を塗った折敷《おしき》である。夕顔《ゆうがお》、豆腐の寺料理も山家は山家らしく、それに香味を添えるものがあれ
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