しからぬほどのむなしい飾りと半蔵には思われた。塩と砂糖と藍《あい》よりほかになるべく物を買わない方針を執って来た自給自足の生活の中で、三千六百円もの大借がどうしてできたろうと思い、先代吉左衛門から譲られた記念の屋敷もどうなって行こうと思って、もしこの家政維持の方法が一歩をあやまるならせっかく東京まで修業に出した子供にも苦学させねばなるまいと思うと、かずかずの残念なことが一緒になって半蔵の胸にさし迫った。もともと青山の家督を跡目相続の宗太に早く譲らせたのも継母おまんの英断に出たことであるが、こんな結果を招いて見ると、義理ある子の半蔵よりも孫の宗太のかわいいおまんまでが、これには一言もない。
「先祖に対しても何の面目がある。」
 言おうとして、それを言い得ない半蔵は、顔色も青ざめながら、前後を顧みるいとまもなく腰にした扇子を執って、父の前に手をついた宗太を打ち励まそうとした。あわてて囲炉裏ばたからそこへ飛んで来たのはお民だ。先祖の鞭《むち》を意味するその半蔵が扇子は宗太に当たらないで、身をもって子をかばおうとするお民の眉間《みけん》を打った。
「お前たちは、なんでもおれがむやみと金をつかい
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