り当ても心細いものになって行った。半蔵としては、本教を振るい興したいにも資力が足らず、宮司の重任をこうむりながらも事があがらない。しまいには、名のつけようのない寂寞《せきばく》が彼の腰や肩に上るばかりでなく、彼の全身に上って来た。
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きのふけふしぐれの雨ともみぢ葉とあらそひふれる山もとの里
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 こんな歌が宮村の仮寓《かぐう》でできたのも前年の冬のことであり、同じ年の夏には次ぎのようなものもできた。
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おのがうたに憂《う》さやなぐさむさみだれの雨の日ぐらし早苗《さなえ》とるなり
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 梅雨期の農夫を憐《あわれ》む心は、やがて彼自ら憐む心であった。平田篤胤没後の門人として、どこまでも国学者諸先輩を見失うまいとの願いから、彼も細い一筋道をたどって、日ごろの願いとする神の住居《すまい》にまで到《いた》り着いたが、あの木曾の名所図絵にもある園原の里の「帚木《ははきぎ》」のように、彼の求めるものは追っても追っても遠くなるばかり。半生の間、たまりにたまっていたような涙が飛騨の山奥の旅に行って彼のかたくなな胸の底
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