いて行った近《ちか》つ代《よ》の人の中でも、最も高く見、最も遠く見たものの一人《ひとり》であった。そのかわり、先師篤胤は万事明け放しで、丸裸になって物を言った。そこが多くの平田門人らにとって親しみやすくもあったところだ。本居翁にはそれはない。寛《ひろ》いふところに、ありあまるほどの情意を包みながら、言説以外にはそれも打ち出さずに、終生つつましく暮らして行かれたようなその人柄は、内弟子にすら近づきがたく思われたふしもあったであろう。ともあれ、日ごろ彼なぞが力と頼む本居翁も口さがない人たちにかかっては、滑稽《こっけい》な戯画の中の人物と化した。先輩を活神様にして祭り上げる人たちは、また道化役者《どうけやくしゃ》にして笑いたがる人たちである。そんな態度が頼みがいなく思われる上に、又聞《またぎ》きにしたくらいの人の秘密をおもしろ半分に振り回し、下世話《げせわ》にいう肘鉄《ひじてつ》を食わせたはしたない女の話なぞに興がって、さも活神様の裏面に隠れた陰性な放蕩《ほうとう》をそこへさらけ出したという顔つきでいるそういう同僚を彼は片腹痛く思った。きく人もまたすこぶる満足したもののごとく、それを笑い楽し
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