らね。」
「して見ると、わたしたちが年を取るのも不思議はありませんかねえ。」とお里もそばにいて言葉を添える。
「何かなあ。あれでお粂も娘の一心に何か思いつめたことでもあるのかなあ。」と寿平次が言った。
「それがですよ。」とお民は答える。「許嫁《いいなずけ》の人のことでも忘れられないのかというに、どうもそうじゃないらしい。」
「それで、何かえ。お粂はどんなようすだえ。」とまたおばあさんがきく。
「わたしが何をたずねても、うつむいて、沈んでばかりいますよ。」
「そりゃ言えないんだ。」と寿平次は考えて、「ああいう早熟な子にかぎって、そういうことはあることだよ。」
「ほんとに、妙な娘ができてしまいました。あの年で、神霊《みたま》さまなぞに凝って――まあ、お父《とっ》さん(半蔵)にそっくりなような娘ができてしまいました。」
「でも、お民、おれはいい娘だと思う。」
と寿平次は言って、その晩の話はお粂のようすを聞いて見るだけにとどめようとした。お民の方でも、それを生家《さと》の人たちの耳に入れるだけにとどめて、おばあさんや兄の知恵を借りに来たとはまだ言い出せなかった。
馬籠峠の上ともちがい、木曾
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