畠《くわばたけ》になって、ところどころに植えてある桐《きり》の若木も目につく。
お民は思い出したように、
「あれはいつでしたか、うちで炬燵《こたつ》の上に手を置いて、『お民、今に本陣も、脇《わき》本陣もなくなるよ』ッて、そんな話を家のものにして聞かせたことがありましたっけ。あの時はわたしはうそのような気がしていましたよ。お父《とっ》さん(吉左衛門)の百か日が来た時にも、まさかうちで本気にそんなことを言ってるとは思いませんでした。ところが、兄さん、ちょうどあのお父さんが亡《な》くなって一年目に、うちでも母屋だけ残して、新屋の方は取り払いでしょう。主《おも》な柱なぞは綱をつけて、鯱巻《しゃちま》きにして引き倒しましたよ。恐ろしい音がして倒れて行きましたっけ。あの大きな鋸《のこぎり》や斧《おの》で柱を伐《き》る音は、今だにわたしの耳についています。」
その晩、お民は和助を早く寝かしつけて置いて、寿平次のいる寛《くつろ》ぎの間《ま》におばあさんやお里とも集まった。娘お粂の縁談について、折り入ってその相談に来たことを兄夫婦らの前に持ち出した。
妻籠でもうすうす聞いてくれたことであろうが
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