の道を歩いて、午後に妻籠《つまご》の生家《さと》に着いた。

       二

 お民はある相談をもって妻籠のおばあさんや兄寿平次を見に来た。その相談は、娘お粂《くめ》の縁談に関する件で、かねて伊那の南殿村、稲葉《いなば》という家は半蔵が継母おまんの生家《さと》に当たるところから、おまんの世話で、その方にお粂の縁談がととのい、前年の冬には南殿村から結納《ゆいのう》の品々を送って来て、その年の二月の声を聞くころはすでに結婚の日取りを申し合わせるまでに運んだのであった。今度のお民の妻籠訪問はその報告というばかりでなく、兄夫婦の耳にも入れて相談したいと思って来たことがあるからで。
 お民ももう五人の子の母である。兄の家にもらわれて来ている次男の正己《まさみ》と、三男の森夫との間には、二人《ふたり》まで女の子を失ったが、それらの早世した幼いものまで合わせると七人もの子をなした年ごろに達している。今さら、里ごころでもあるまいに。しかし、その年になっても妻籠に帰って来て見ると、やはりおばあさんのそばは彼女にとって自分の家らしかった。ちょうど寿平次は正己を連れ、近くに住む得右衛門を誘い合わせ、祝日
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