たりする寺の囲炉裏ばたに続き、一方は錆《さ》び黒ずんだ板戸を境にして本堂の方へ続いている。薄暗い部屋《へや》をへだてて、奥まった方の客間も見える。勝重は、その位置にいて、会葬者の上がって来るごとにその名を記《しる》しつけ、吉左衛門が交遊のひろがりを想像した。しばらく待つうちに遺骸も本堂の前に着いて、勝重の周囲には廊下を歩きながらの人たちの扇がそこにもここにも動いた。
 時には清助が机の上をのぞきに来る。山口、湯舟沢、落合、それから中津川辺からの会葬者はだれとだれとであろうかというふうに。勝重は帳面を繰って、なんと言っても美濃衆の多いことをさして見せ、わざわざ弔いに見えた美濃の俳友なぞもあることを話したあとで、さらに言葉をついで、
「まあ、清助さん、そう働いてばかりいないで、すこしお休み。わたしは今度馬籠へ来て見て、お師匠さまの子供衆が大きくなったのに驚きましたよ。ほんとに、皆さんが大きくおなりなすった。わたしには一番それが目につきます。お師匠さまの家にお世話になった時分、あのお粂さんなぞはまだわたしの膝《ひざ》にのせて抱いたくらいでしたがねえ。」
 こんな話が出た。
 そこへうわさをし
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