《ばあ》さんなぞの女達がおもに集まっている。
「お霜|婆《ばあ》。」
「あい。」
「お前も早くおいでや。」
「あい。」
出入りの百姓兼吉のおふくろは人に呼ばれて、あたふたとそこへ走り出た。耳の遠いこの婆さんまでが、ありし日のことを思い出して、今はと見送ろうとするのであろう。その中には、珠数を手にした伊之助の妻のお富もまじっていた。
その時、百姓の桑作は人を分けて、半蔵をさがした。桑作はそこに門火《かどび》を焚《た》いていた一人の若者を半蔵の前へ連れて行った。
「旦那、これはおふき婆(半蔵の乳母《うば》)の孫よなし。長いこと山口の方へ行っていたで、お前さまも見覚えはあらっせまいが、あのおふき婆の孫がこんなに大《でか》くなった。きょうはこれにもお見送りをさしてやっていただきたい。そう思って、おれが連れて来たに。」
と桑作は言った。
間もなく野辺送《のべおく》りの一行は順に列をつくって、寺道の方へ動き出した。高く掲げた一対の白張提灯《しらはりぢょうちん》を案内にして、旧庄屋の遺骸がそのあとに続いた。施主の半蔵をはじめ、亀屋《かめや》栄吉、伏見屋伊之助、梅屋五助、桝田屋《ますだや》小左
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