ばらく皆の意見に従うことにした。ともかくも、この葬式は父の長い街道生活を記念する意味のものでありたいと彼は願った。なるべく手厚く父を葬りたい。そのことを彼は伊之助の前でも言い、継母にも話した。やがて納棺の用意もできるころには、東西の隣宿から泊まりがけで弔いに来る親戚《しんせき》旧知の人々もある。寿平次、得右衛門は妻籠《つまご》から。かつて半蔵の内弟子《うちでし》として少年時代を馬籠本陣に送ったことのある勝重《かつしげ》は落合から。奥の間の机の上では日中の蝋燭《ろうそく》が静かにとぼった。木材には事を欠かない木曾山中のことで、棺も厚い白木で造られ、その中には仏葬のならわしによるありふれたものが納められた。おまんらが集まって吉左衛門のために縫った経帷子《きょうかたびら》、珠数《じゅず》、頭陀袋《ずだぶくろ》、編笠《あみがさ》、藁草履《わらぞうり》、それにお粂《くめ》が入れてやりたいと言ってそこへ持って来た吉左衛門常用の杖《つえ》。いずれも、あの世への旅人姿のしるしである。おまんはそのそばへ寄って、吉左衛門の掌《てのひら》を堅く胸の上に組み合わせてやった。その時、半蔵はお粂や宗太を呼び寄せ、
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