ことを語っている。この日になってもまだ旧《ふる》い夢のさめないような庄屋問屋は、一切外出を許さない、謹慎中は月代《さかやき》を剃《そ》ることも相成らない、病気たりとも医師の宅へ療養に罷《まか》り越すことも相成らない、もっとも自宅へ医師を呼び寄せたい時はその旨《むね》を伺い出よ、居宅は人見《ひとみ》をおろし大戸をしめ潜《くぐ》り戸《ど》から出入りせよ、職業ならびに商法とも相成らない、右のほかわかりかねることもあらば宿役人を通して伺い出よとの総管所からのきびしいお達しの出たころだ。
さらに妻籠《つまご》まで帰って来た。半蔵が妻籠本陣へ見舞いを言い入れると、ちょうど寿平次は留守の時であったが、そこでも会所は廃され、問屋は変わる最中で、いったん始まった改革は行くところまで行かなければやまないような勢いを示していた。
妻籠の宿場を離れると、木曾川の青い川筋も見えない。深い谷の尽きたところから林の中の山道になって、登れば登るほど木曾の西のはずれへ出て行かれる。五月の節句もまためぐって来て山家の軒にかけた菖蒲《しょうぶ》の葉も残っているころに、半蔵は馬籠の新しい伝馬所の前あたりまで戻《もど》って
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