を、寿平次さんはお里さんに話してるにちがいないよ。そうさな、ずっと古いことはおれにもまあよくわからないが、吾家《うち》のお祖父《じい》さんにしても、お父《とっ》さんにしても、ほとんどこの街道や宿場のために一生を費やしたようなものさね。その長い骨折りがここのところへ来て、みんな水の泡《あわ》のように消えてしまうなんて、そんなものじゃないとおれは思うよ。すくなくも本陣問屋として、諸国の交通事業に参加して来たのも青山家代々のものだからね。福島の総管所から来る書付にもそのことは書いてある。これまで本陣問屋で庄屋を兼ねるくらいのところは、荒蕪《こうぶ》を切り開いた先祖からの歴史のある旧家に相違ないが、しかしこの際はそういう古い事に拘泥《こうでい》するなと教えてあるんだよ。あの笹屋《ささや》の庄助さんなぞはおれのところへやって来て、いくらでもお前さまは強く出さっせるがいいなんて、そんなことを言って行ったが、このおれたちが自分らをあと回しにしなかったら、どうして宿場の改革も望めないのさ。」
「まあ、わたしにはよくわかりません。なんですか、あんなにお母《っか》さんが心配していらっしゃるものですから、自
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