い奉公が武家のためにあったことを宿内の旦那衆に説き、復古の大事業の始まったことをも説いて、多くの不平の声を取りしずめねばならなかった。同時に、この改革の趣意がもっと世の中を明るくするためにあることをも説いて、簡易軽便の風に移ることを、旧御伝馬役の人々に勧めねばならなかった。理想にしたがえば、この改革は当然である。この改革にしたがえば、父祖伝来の名誉職のように考えて来た旧《ふる》い家業を捨てなければならない。彼の胸も騒ぎつづけた。


 福島総管所の方へ呼び出された二人《ふたり》の総代は旧暦二月の雪どけの道を踏んで帰って来た。この人たちが携え帰った総管所の「心得書付《こころえかきつけ》」はおおよそ左のようなものであった。
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一、東山道何宿伝馬所と申す印鑑をつくり、これまでの問屋と申す印鑑は取り捨て申すべきこと。
一、問屋付けの諸帳面、今後新規に相改め、御印鑑継立て、御証文継立て、御定めの賃銭払い継立てのものなど帳分けにいたし、付け込みかた混雑いたさざるよう取り計らうべきこと。
一、筆、墨、紙、蝋燭《ろうそく》、炭の入用など、別帳にいたし、怠らずく
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