に疲れて横になるものがある。足を投げ出すものがある。半蔵が男の子の宗太や正己《まさみ》はおもしろがって、その間を泳いで歩いた。
「半蔵さん、すこしお話がある。一つ片づいて、やれうれしやと思ったら、また一つ宿場の問題が起こって来ました。」
 と言って隣家から訪《たず》ねて来る伊之助を寛《くつろ》ぎの間《ま》に迎えて見ると、東山道通行は助郷人足不参のため、当分その整理がつくまで大坂御番頭の方に断わりを出そうということであった。
「なんでも木曾十一宿の総代として、須原《すはら》からだれか行くそうです。大坂まで出張するそうです。」
「それじゃ、伊之助さん、馬籠からも人をやりましょう。」
 半蔵は栄吉や清助をそこへ呼んで、四人でその人選に額《ひたい》を鳩《あつ》めた。
 参覲交代制度変革以来の助郷の整理は、いよいよこの宿場に働くものにとって急務のように見えて来た。過ぐる六月の十七日から二十八日にわたる荷送りを経験して見て、伊那方面の人足の不参が実際にその困難を証拠立てた。多年の江戸の屋敷住居《やしきずまい》から解放された諸大名が家族もすでに国に帰り、東照宮の覇業《はぎょう》も内部から崩《くず》れ
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