とかさ、物のあわれとかいうことが深く説いてある。そこへ行くと、平田先生はもっと露骨だ。考えることが丸裸《まるはだか》だ――いきなり、生め、ふやせだ。」
こんな話も出た。
その日、正香はあまり長くも半蔵の家に時を送らなかった。祭典の模様を伝えるだけに止めて、景蔵と香蔵の二人も一緒に座を立ちかけた。半蔵の家族が一晩ぐらいゆっくり泊めたいと言って引き留めているうちに、三人の客は庭へおりて草鞋《わらじ》の紐《ひも》を結んだ。
「暮田さんは京都へお出かけになるんだよ。ゆっくりしていられないんだよ。」
と半蔵は妻に言って見せて、庭先にある草履《ぞうり》を突ッ掛けながら、急いで客と一緒になった。彼は表門から街道へ出ないで、裏口の方へと客を誘った。
「暮田さん、そこまでわたしが御案内します。こちらの方に静かな細い道があります。」
先に立って彼が案内して行ったは、吉左衛門が隠居所と土蔵の間を通りぬけ、掘り井戸について石段を降りたところだ。木小屋、米倉なぞの前から、裏の木戸をくぐると、本陣の竹藪《たけやぶ》に添うて街道と並行した村の裏道がそこに続いている。
「そう言えば、師岡正胤《もろおかまさたね
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