ることにも言い及んである。
半蔵はさらに読み続けた。
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「――前条難渋の宿柄、実《じつ》もって嘆かわしき次第にこれあり候《そうろう》。右につき、高割《たかわり》取り集め候儀も、先年よりは多く相増し候えども、お救い拝借等年延べ願い上げ奉り候ほどのことゆえ、この上相増し候儀は行き届かず、もはや頼母子講取り立て候儀も相成りがたく、組合宿々の儀も人馬雇い立てその他多端の費用にて借財相かさみ、助力は相頼みがたき場合、いかにして宿相続|仕《つかまつ》るべきかと一同当惑悲嘆いたし候。
――この上は、前条のおもむき深く御憐察《ごれんさつ》下し置かれ、御時節柄恐れ多きお願いには候えども、御金二千両拝借仰せ付けられたく、御返上の儀も当|寅年《とらどし》より向こう二十か年賦済みにお救い拝借仰せ付けられ候わば、一同ありがたき仕合わせに存じ奉り候。以上。」
慶応二年|寅《とら》九月[#地から7字上げ]馬籠宿
[#地から2字上げ]庄屋問屋
御奉行所
[#ここで字下げ終わり]
半蔵と伊之助の二人《ふたり》はこの願書について互いの意見をとりかわした。伊之助には養父金兵衛の鋭さはない
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