鎗《けんそう》の力で鎮圧されたほどである。
これほど窮迫した社会の空気の中で、幕府が江戸から大坂へ大軍を進めてからすでに一年あまりになる。いったん決心した将軍の辞職も、それを喜ぶ臣下の者はすくなかったために、御沙汰《ごさた》に及ばれがたしとの勅諚《ちょくじょう》を拝して、またまた思いとどまるやら、将軍家の威信もさんざんに見えて来た。大坂城まで乗り出した幕府方は進むにも進まれず、退《ひ》くにも退かれず幾度か長州藩のためにもてあそばれて、ついに開戦の火ぶたを切った。長い戦線は山陰、山陽、西海の三道にもわたった。一昨日は井伊、榊原《さかきばら》の軍勢が芸州口から広島へ退《ひ》いたとか、昨日は長州方の奇兵隊が石州《せきしゅう》口の浜田にあらわれたとか、そういうことを伝え聞く空気の中にあって、ただただ半蔵は村の人たちと共に戦時らしい心配を分《わ》かつのほかはなかった。
戦報も次第に漠《ばく》として来ている。半蔵が西から受け取る最近の聞書《ききがき》には、戦地の方の正確な消息も一向に知らせて来ない。それがひどく半蔵を不安にしている。
しばらく彼は裏二階の縁先に出て考えていたが、また親たちのい
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