し、継立《つぎた》てを応援する定員の公役を設けることであって、この方法によると常備人馬でも応じきれない時に定助郷の応援を求め、定助郷が出てもまだ足りないような大通行の場合にかぎり加助郷《かすけごう》の応援を求めるのであるが、これまで木曾地方の街道筋にはその組織も充分にそなわっていなかった。それには木曾十一宿のうち、上《かみ》四宿、中《なか》三宿、下《しも》四宿から都合四、五人の総代を立て、御変革以来の地方の事情を江戸にある道中奉行所につぶさに上申し、東海道方面の例にならって、これはどうしても助郷の組織を改良すべき時機であることを陳述し、それには定助郷を勤むるものに限り高掛《たかかか》り物《もの》(金納、米納、その他労役をもってする一種の戸数割)の免除を願い、そして課役に応ずる百姓の立場をはっきりさせ、同時に街道の混乱を防ぎ止めねばならぬ、そのことに十一宿の意見が一致したのであった。もしこの定助郷設置の嘆願が道中奉行に容《い》れられなかったら、お定めの二十五人、二十五|疋《ひき》以外には継立《つぎた》てに応じまい、その余は翌日を待って継ぎ立てることにしたいとの申し合わせもしてあった。馬籠
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