んりゅうがわ》のほとりに出てからも、浪士らは武装を解こうとしなかった。いずれも鎧兜《よろいかぶと》、あるいは黒の竪烏帽子《たてえぼし》、陣羽織のいでたちである。高く掲げた紅白の旗、隊伍を区別する馬印《うまじるし》などは、馬上の騎士が携えた抜き身の鎗《やり》に映り合って、その無数の群立と集合との感じが一行の陣容をさかんにした。各部隊の護って行く二門ずつの大砲には皆御隠居の筆の跡が鋳《い》てある。「発而皆中節《はっしてみなせつにあたる》、源斉昭書《みなもとのなりあきしょ》」の銘は浪士らが誇りとするものだ。行列の中央に高く「尊攘《そんじょう》」の二字を掲げた旗は、陣太鼓と共に、筑波以来の記念でもあった。参謀の兵部は軍中第二班にある。采配を腰にさし、甲冑《かっちゅう》騎馬で、金の三蓋猩々緋《さんがいしょうじょうひ》の一段幡連《いちだんばれん》を馬印に立て、鎗鉄砲を携える百余人の武者を率いた。総勢の隊伍《たいご》を、第一班から第六班までの備えに編み、騎馬の使番に絶えず前後周囲を見回らせ、隊列の整頓《せいとん》と行進の合図には拍子木《ひょうしぎ》を用いることなぞ皆この人の精密な頭脳から出た。水戸家
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