|佐久《さく》の高原地に出た。
 十一月の十八日には、浪士らは千曲川《ちくまがわ》を渡って望月宿《もちづきじゅく》まで動いた。松本藩の人が姿を変えてひそかに探偵《たんてい》に入り込んで来たとの報知《しらせ》も伝わった。それを聞いた浪士らは警戒を加え、きびしく味方の掠奪《りゃくだつ》をも戒めた。十九日和田泊まりの予定で、尊攘の旗は高く山国の空にひるがえった。
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     第十章

       一

 和田峠の上には諏訪藩《すわはん》の斥候隊が集まった。藩士|菅沼恩右衛門《すがぬまおんえもん》、同じく栗田市兵衛《くりたいちべえ》の二人《ふたり》は御取次御使番《おとりつぎおつかいばん》という格で伝令の任務を果たすため五人ずつの従者を引率して来ている。徒士目付《かちめつけ》三人、書役《かきやく》一人《ひとり》、歩兵斥候三人、おのおの一人ずつの小者を連れて集まって来ている。足軽《あしがる》の小頭《こがしら》と肝煎《きもいり》の率いる十九人の組もいる。その他には、新式の鉄砲を携えた二人の藩士も出張している。和田峠口の一隊はこれらの人数から編成されていて、それぞれ手分けをしながら斥候の
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