河原のようになって、おまけに土は赤土と来ているから、嶮岨《けんそ》な道筋での継立《つぎた》ても人馬共に容易でないことを思い出した。冬春の雪道、あるいは凍り道などのおりはことに荷物の運搬も困難で、宿方役人どもをはじめ、伝馬役《てんまやく》、歩行役、七里役等の辛労は言葉にも尽くされないもののあることを思い出した。病み馬、疲れ馬のできるのも無理のないことを思い出した。郷里の方にいる時こそ、宿方と助郷村々との利害の衝突も感じられるようなものだが、遠く江戸へ離れて来て見ると、街道筋での奉公には皆同じように熱い汗を流していることを思い出した。彼は郷里の街道のことを考え、江戸を見た目でもう一度あの宿場を見うる日のことを考え、そこに働く人たちと共に武家の奉公を忍耐しようとした。
徳川幕府の頽勢《たいせい》を挽回《ばんかい》し、あわせてこの不景気のどん底から江戸を救おうとするような参覲交代《さんきんこうたい》の復活は、半蔵らが出発以前にすでに触れ出された。
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一、万石《まんごく》以上の面々ならびに交代寄合《こうたいよりあい》、参覲の年割《ねんわ》り御猶予成
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