しゅくがた》でも応じきれません。まず多数にお入り込みの場合を申しますと、宿方にあり合わせた人馬を出払いまして、その余は人馬の立ち帰るまで御猶予を願います。また、時刻によりましては宿方にお泊まりをも願います。これが平素の場合でございましたところ、近年は諸家様がそういう宿方の願いをもお聞き入れになりません。なんでも御威勢をもって継立て方をきびしく仰せ付けられるものですから、まあよんどころなく付近の村々から人馬を雇い入れまして、無理にもお継立てをいたします。そんな次第で。雇い金《きん》も年々に積もってまいりました。宿方困窮の基《もと》と申せば、あまりに諸家様の御権威が高くなったためかと存じます。それさえありませんでしたら、街道の仕事はもっと安らかに運べるはずでございます。」
「なるほど、そういうこともあろう。」と都筑駿河は言って、居並ぶ神保佐渡の方へ膝《ひざ》を向け直して、「御同役、いかがでしょう。くわしいことは書面にして差し出してもらいたいと思いますが。」
「御同感です。」と神保佐渡は手にした扇子で胸のあたりをあおぎながら答えた。
道中|下方掛《したかたがか》りの役人らの間にもしきりに扇
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