のためとも成るべきことも多からうなれども、又、害となることも少なかるまいと思はれるでござる。是《これ》こそは彼《か》の吉事《よきこと》に是《こ》の凶事《まがごと》のいつぐべき世の中の道なるをもつて、さやうには推し量り知られることでござる。そもそもかく外国々《とつくにぐに》より万づの事物の我が大御国《おおみくに》に参り来ることは、皇神《すめらみかみ》たちの大御心にて、その御神徳の広大なる故《ゆえ》に、善《よ》き悪《あ》しきの選みなく、森羅万象《しんらばんしょう》ことごとく皇国《すめらみくに》に御引寄せあそばさるる趣きを能《よ》く考へ弁《わきま》へて、外国《とつくに》より来る事物はよく選み採りて用ふべきことで、申すも畏《かしこ》きことなれども、是《これ》すなはち大神等《おおみかみたち》の御心掟《みこころおきて》と思ひ奉られるでござる。」
半蔵は深いため息をついた。それは、自分の浅学と固陋《ころう》とばか正直とを嘆息する声だ。先師と言えば、外国よりはいって来るものを異端邪説として蛇蝎《だかつ》のように憎みきらった人のように普通に思われているが、『静の岩屋』なぞをあけて見ると、近くは朝鮮、シ
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