ぐい》もありて、良医これを用ひて病症に応ずればいちじるき効験《しるし》をあらはすもあれど、もとその薬性を知らず、又はその薬性を知りてもその用ふべきところを知らず、もしその病症に応ぜざれば大害を生じて、忽《たちま》ち人命をうしなふに至る。これは、譬《たと》へば、猿《さる》に利刀を持たせ、馬鹿《ばか》に鉄砲を放たしむるやうなもので、まことに危いことの甚《はなはだ》しいでござる。さて、その究理のくはしきは、悪《あ》しきことにはあらざれども、彼《か》の紅夷《あかえみし》ら、世には真《まこと》の神あるを知らず。人の智《ち》は限りあるを、限りなき万《よろ》づの物の理《ことわり》を考へ究《きわ》めんとするにつけては、強《し》ひたる説多く、元よりさかしらなる国風《くにぶり》なる故《ゆえ》に、現在の小理にかかはつて、かへつて幽神の大義を悟らず。それゆへにその説至つて究屈にして、我が古道の妨げとなることも多いでござる。さりながら、世間《せけん》の有様を考ふるに、今は物ごと新奇を好む風俗なれば、この学風も儒仏の道の栄えたるごとく、だんだんと弘《ひろ》まり行くことであらうと思はれる。しからんには、世のため、人
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