総代の庄助、本陣新宅の祝次郎、その他半蔵が内弟子《うちでし》の勝重《かつしげ》から手習い子供まで、それに荒町《あらまち》からのものなぞを入れると、十六、七人ばかりの人たちが彼を出迎えた。上町《かみまち》まで帰って行くと、問屋九太夫をはじめ、桝田屋《ますだや》、蓬莱屋《ほうらいや》、梅屋、いずれももう髪の白いそれらの村の長老たちが改まった顔つきで、馬籠の新しい駅長をそこに待ち受けていた。
五
「あなたは勤王家ですか。」
「勤王家かとはなんだい。」
「その方のお味方ですかッて、きいているんですよ。」
「お民、どうしてお前はそんなことをおれにきくんだい。」
半蔵は本陣の奥の上段の間にいた。そこは諸大名が宿泊する部屋《へや》にあててあるところで、平素はめったに家のものもはいらない。お民は仲の間の方から、そこに片づけものをしている夫《おっと》を見に来た時だ。
「どうしてということもありませんけれど、」とお民は言った。「お母《っか》さんがそんなことを言ってましたから。」
半蔵は妻の顔をながめながら、「おれは勤王なんてことをめったに口にしたこともない。今日、自分で勤王家だなんて
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