わって来たんじゃありませんかね。」
「さあねえ。」
「寿平次さんは岩倉様の蟄居《ちっきょ》を命ぜられたことはお聞きでしたかい。」
「そいつは初耳です。」
「どうもいろいろなことをまとめて考えて見ると、何か京都の方には起こっている――」
「半蔵さんのお仲間からは何か言って来ますか。今じゃ平田先生の御門人で、京都に集まってる人もずいぶんあるんでしょう。」
「しばらく景蔵さんからも便《たよ》りがありません。」
「なにしろ世の中は多事だ。これからの庄屋の三年は、お父《とっ》さん時代の人たちの二十年に当たるかもしれませんね。」
二人は話し話し歩いた。
一石栃《いちこくとち》まで帰って行くと、そこは妻籠と馬籠の宿境にも近い。歩き遅れた半蔵らは連れの伊之助や小左衛門なぞに追いついて、峠の峰まで帰って行った。
「へえ、旦那《だんな》、おめでとうございます。」
半蔵はその峰の上で、そこに自分を待ち受けている峠村の組頭、その他二、三の村のものの声を聞いた。
清水というところまで帰って行った。馬籠の町内にある五人組の重立ったものが半蔵を出迎えた。陣場まで帰って行った。問屋の九郎兵衛、馬籠の組頭で百姓
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