せ、村はずれに宮様をお迎えさせることにした。そこへ来た新宅のお喜佐(おまんの実の娘、半蔵の異母妹)には宗太をつけて、これも家の下女たちと一緒にやることにした。
「粂さま、おいで。」と佐吉はお粂を背中にのせて、その顔をおまんに見せながら、「これで粂さまも、きょうあったことを――ずっと大きくなるまで――覚えていさっせるずらか。」
「なにしろ、六つじゃねえ。」
「覚えてはいさっせまいか。」
「そうばかりでもないよ。」とお喜佐は二人の話を引き取って言った。「この子もこれで、夢のようには覚えているだろうよ。わたしだって、五つの歳《とし》のことをかすかに覚えているもの。」
「ほんとに、きょうはあいにくな雨だこと。」とおまんは言った。「わたしもお迎えしたいは山々だが、お民がこんなじゃ、どうしようもない。わたしたち二人はお留守居しますよ。」
佐吉はお粂を、お喜佐は宗太をまもりながら、御行列拝見の人々が集まる村はずれの石屋の坂あたりまで行った。なにしろ多勢の御通行で、佐吉らは吉左衛門や半蔵の働いている姿をどこにも見いだすことができなかった。それに、御通行筋は公私の領分の差別なく、旅館の前後里程三日路の
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