る助郷《すけごう》の中には腕をさすって、ぜひともお輿《こし》をかつぎたいというものが出て来る。大変な御人気だ。半蔵は父と同じように、麻の※[#「ころもへん+上」、第4水準2−88−9]※[#「ころもへん+下」、第4水準2−88−10]《かみしも》をつけ、袴《はかま》の股立《ももだ》ちを取って、親子してその間を奔走した。
「姫君さまのお輿《こし》なら、おれも一肩《ひとかた》入れさせてもらいたいな。」
これも篤志家の一人《ひとり》の声だった。
翌日は中津川お泊まりの日取りである。その日は雨になって、夜中からひどく降り出した。しかしその大雨の中でも、もはや道固めの尾州の家中が続々馬籠へ繰り込んで来るようになったので、吉左衛門も半蔵も全く一晩じゅう眠らなかった。
いよいよ馬籠御通行という日が来た。本陣の仮住居《かりずまい》の方では、おまんが孫のそばに目をさますと、半蔵も父も徹夜でいそがしがって、ほとんど家へは寄りつかない。嫁のお民は、と見ると、この人は肩で息をして、若い母らしい前垂《まえだ》れなぞにもはや重そうなからだを隠そうとしている。
おまんは佐吉を呼んで、孫のお粂《くめ》をおぶわ
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