は美濃《みの》の方の空を思い出したからで。
 横浜も海岸へ寄った方はすでに区画の整理ができ、新道はその間を貫いていて、町々の角《かど》には必ず木戸を見る。帰り路《みち》には、寛斎らは本町一丁目の通りを海岸の方へ取って、渡し場のあるところへ出た。そこから出る舟は神奈川の宮下というところへ着く。わざわざ野毛山の下の方を遠回りして帰って行かないでも済む。牡丹屋の亭主はその日の夕飯にと言って瑞見から注文のあった肉を横浜の町で買い求めて来て、それをさげながら一緒に神奈川行きの舟に移った。
「横浜も鴉《からす》の多いところですね。」
「蝦夷《えぞ》の方ではゴメです。海の鴎《かもめ》の一種です。あの鳴き声を聞くと、いかにも北海らしい気持ちが起こって来ますよ。そう言えば、この横浜にはもう外国の宣教師も来てるというじゃありませんか。」
「一人。」
「なんでも、神奈川の古いお寺を借りて、去年の秋から来ているアメリカ人があります。ブラウンといいましたっけか。横浜へ着いた最初の宣教師です。狭い土地ですからすぐ知れますね。」
「いったい、切支丹《キリシタン》宗は神奈川条約ではどういうことになりましょう。」
「そ
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