って造った二本マストもしくは一本マストの帆前船《ほまえせん》から、従来あった五大力《ごだいりき》の大船、種々な型の荷船、便船、漁《いさ》り船《ぶね》、小舟まで、あるいは碇泊《ていはく》したりあるいは動いたりしているごちゃごちゃとした光景が、鴉《からす》の群れ飛ぶ港の空気と煙とを通してそこに望まれた。二か所の波止場、水先案内の職業、運上所で扱う税関と外交の港務などは、全く新しい港のために現われて来たもので、ちょうど入港した一|艘《そう》の外国船も周囲の単調を破っている。
その時、牡丹屋の亭主は波止場の位置から、向こうの山下の方角を瑞見や寛斎にさして見せ、旧横浜村の住民は九十戸ばかりの竈《かまど》を挙《あ》げてそちらの方に退却を余儀なくされたと語った。それほどこの新開地に内外人の借地の請求が頻繁《ひんぱん》となって来た意味を通わせた。大岡川《おおおかがわ》の川尻《かわじり》から増徳院わきへかけて、長さ五百八十間ばかりの堀川《ほりかわ》の開鑿《かいさく》も始まったことを語った。その波止場の位置まで行くと、海から吹いて来る風からして違う。しばらく瑞見は入港した外国船の方を望んだまま動かなかっ
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