とまたおばあさんは言いながら、三つ組の土器《かわらけ》を白木の三宝のまま丁寧に客の前に置いて、それから冷酒《れいしゅ》を勧めた。
「改めて親類のお盃《さかずき》とやりますかな。」
そういう七郎左衛門の愉快げな声を聞きながら、まず年若な寿平次が土器を受けた。続いて半蔵も冷酒を飲みほした。
「でも、不思議な御縁じゃありませんか。」と七郎左衛門はおばあさんの方を見て言った。「わたしが妻籠《つまご》の青山さんのお宅へ一晩泊めていただいた時に、同じ定紋《じょうもん》から昔がわかりましたよ。えゝ、丸《まる》に三《み》つ引《びき》と、※[#「穴かんむり/果」、第3水準1−89−51]《か》に木瓜《もっこう》とでさ。さもなかったら、わたしは知らずに通り過ぎてしまうところでしたし、わざわざお二人で訪《たず》ねて来てくださるなんて、こんなめずらしいことも起こって来やしません。こうしてお盃を取りかわすなんて、なんだか夢のような気もします。」
「そりゃ、お前さん、御先祖さまが引き合わせてくだすったのさ。」
おばあさんは、おばあさんらしいことを言った。
相州三浦の公郷村まで動いたことは、半蔵にとって黒
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