主人のあとについて、寿平次は改まった顔つき、半蔵も眉《まゆ》をあげながら奥の方へ通ったあとで、佐吉は二人の脱いだ草鞋の紐《ひも》など結び合わせた。
やがて、奥座敷では主人と寿平次との一別以来の挨拶《あいさつ》、半蔵との初対面の挨拶なぞがあった。主人の引き合わせで、幾人の家の人が半蔵らのところへ挨拶に来るとも知れなかった。これは忰《せがれ》、これはその弟、これは嫁、と主人の引き合わせが済んだあとには、まだ幼い子供たちが目を円《まる》くしながら、かわるがわるそこへお辞儀をしに出て来た。
「青山さん、わたしどもには三夫婦もそろっていますよ。」
この七郎左衛門の言葉がまず半蔵らを驚かした。
古式を重んずる※[#「肄のへん+欠」、第3水準1−86−31]待《もてなし》のありさまが、間もなくそこにひらけた。土器《かわらけ》なぞを三宝の上に載せ、挨拶かたがたはいって来る髪の白いおばあさんの後ろからは、十六、七ばかりの孫娘が瓶子《へいじ》を運んで来た。
「おゝ、おゝ、よい子息《むすこ》さんがただ。」
とおばあさんは半蔵の前にも、寿平次の前にも挨拶に来た。
「とりあえず一つお受けください。」
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