な気がする。実に一切から離れますね。」
「もうすこし君は楽な気持ちでもよくはありませんか。まあ、その盃《さかずき》でも乾《ほ》すさ。」
若いもの二人《ふたり》は旅の疲れを忘れる程度に盃を重ねた。主人が馳走振《ちそうぶ》りの鶫も食った。焼きたての小鳥の骨をかむ音も互いの耳には楽しかった。
「しかし、半蔵さんもよく話すようになった。以前には、ほんとに黙っていたようですね。」
「自分でもそう思いますよ。今度の旅じゃ、わたしも平田入門を許されて来ました。吾家《うち》の阿爺《おやじ》もああいう人ですから、快く許してくれましたよ。わたしも、これで弟でもあると、家はその弟に譲って、もっと自分の勝手な方へ出て行って見たいんだけれど。」
「今から隠居でもするようなことを言い出した。半蔵さん――君は結局、宗教にでも行くような人じゃありませんか。わたしはそう思って見ているんだが。」
「そこまではまだ考えていません。」
「どうでしょう、平田先生の学問というものは宗教じゃないでしょうか。」
「そうも言えましょう。しかし、あの先生の説いたものは宗教でも、その精神はいわゆる宗教とはまるきり別のものです。」
「まる
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