《はたごや》を物色しつつあった。
半蔵はかねて父の懇意にする庄屋《しょうや》仲間の家に泊めてもらうことにして、寿平次や佐吉をそこへ誘った。往来の方へ突き出したようなどこの家の低い二階にもきまりで表廊下が造りつけてあって、馬籠や妻籠に見る街道風の屋造りはその奈良井にもあった。
「半蔵さん、わたしはもう胼胝《まめ》をこしらえてしまった。」
と寿平次は笑いながら言って、草鞋《わらじ》のために水腫《みずば》れのした足を盥《たらい》の中の湯に浸した。半蔵も同じように足を洗って、広い囲炉裏ばたから裏庭の見える座敷へ通された。きのこ、豆、唐辛《とうがらし》、紫蘇《しそ》なぞが障子の外の縁に乾《ほ》してあるようなところだ。気の置けない家だ。
「静かだ。」
寿平次は腰にした道中差《どうちゅうざ》しを部屋《へや》の床の間へ預ける時に言った。その静かさは、河《かわ》の音の耳につく福島あたりにはないものだった。そこの庄屋の主人は、半蔵が父とはよく福島の方で顔を合わせると言い、この同じ部屋に吉左衛門を泊めたこともあると言い、そんな縁故からも江戸行きの若者をよろこんでもてなそうとしてくれた。ちょうど鳥屋《と
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