や是《これ》やの礼を述べ乍ら、せか/\と立つたり座《すわ》つたりして話す。丑松は斯《この》細君の気の短い、忍耐力《こらへじやう》の無い、愚痴なところも感じ易いところも総《すべ》て外部《そと》へ露出《あらは》れて居るやうな――まあ、四十女に克《よ》くある性質を看《み》て取つた。丁度そこへ来て、座りもせず、御辞儀もせず、恍《とぼ》け顔《がほ》に立つた小娘は、斯細君の二番目の児である。
『これ、お作や。御辞儀しねえかよ。其様《そんな》に他様《ひとさま》の前で立つてるもんぢや無えぞよ。奈何《どう》して吾家《うち》の児は斯《か》う行儀が不良《わる》いだらず――』
といふ細君の言葉なぞを聞入れるお作では無かつた。見るからして荒くれた、男の児のやうな小娘。これがお志保の異母《はらちがひ》の姉妹《きやうだい》とは、奈何しても受取れない。
『まあ、斯児《このこ》は兄姉中《きやうだいぢゆう》で一番仕様が無え――もうすこし母さんの言ふことを聞くやうだと好いけれど。』
と言はれても、お作は知らん顔。何時の間にかぷいと駈出して行つて了つた。
午後の光は急に射入つて、暗い南窓の小障子も明るく、幾年張替へずに
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