/\》したことも言へないぢやないか。』
 斯ういふ述懐は丑松を笑はせた。敬之進も亦《ま》た寂しさうに笑つて、
『ナニ、それもね、継母《まゝはゝ》ででも無けりや、またそこにもある。省吾の奴を奉公にでも出して了つたら、と我輩が思ふのは、実は今の家内との折合が付かないから。我輩はお志保や省吾のことを考へる度に、どの位あの二人の不幸《ふしあはせ》を泣いてやるか知れない。奈何《どう》して継母といふものは彼様《あんな》邪推深いだらう。此頃《こなひだ》も此頃で、ホラ君の御寺に説教が有ましたらう。彼晩《あのばん》、遅くなつて省吾が帰つて来た。さあ、家内は火のやうになつて怒つて、其様《そんな》に姉さんのところへ行きたくば最早《もう》家《うち》なんぞへ帰らなくても可《いゝ》。出て行つて了へ。必定《きつと》また御寺へ行つて余計なことをべら/\喋舌《しやべ》つたらう。必定また姉さんに悪い智慧を付けられたらう。だから私の言ふことなぞは聞かないんだ。斯う言つて、家内が責める。すると彼奴《あいつ》は気が弱いもんだから、黙つて寝床の内へ潜り込んで、しく/\やつて居ましたつけ。其時、我輩も考へた。寧《いつ》そこりや省吾
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