比べた時は、長く目と目を見合せることも出来ない位。
 高柳は膝を進めて、
『承りますれば御不幸が御有なすつたさうですな。さぞ御力落しでいらつしやいませう。』
『はい。』と丑松は自分の手を眺め乍ら答へた。『飛んだ災難に遭遇《であひ》まして、到頭|阿爺《おやぢ》も亡《な》くなりました。』
『それは奈何《どう》も御気の毒なことを。』と言つて、急に高柳は思ひついたやうに、『むゝ、左様々々《さう/\》、此頃《こなひだ》も貴方と豊野の停車場《ステーション》で御一緒に成つて、それから私が田中で下りる、貴方も御下りなさる――左様でしたらう、ホラ貴方も田中で御下りなさる。丁度彼の時が御帰省の途中だつたんでせう。して見ると、貴方と私とは、往きも、還りも御一緒――はゝゝゝゝ。何か斯う克《よ》く/\の因縁《いんねん》づくとでも、まあ、申して見たいぢや有ませんか。』
 丑松は答へなかつた。
『そこです。』と高柳は言葉に力を入れて、『御縁が有ると思へばこそ、斯《か》うして御話も申上げるのですが――実は、貴方の御心情に就きましても、御察し申して居ることも有ますし。』
『え?』と丑松は対手《あひて》の言葉を遮《さへぎ
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