の子らしいのがある。是れを眺めても、穢多の部落が幾通りかの階級に別れて居ることは知れた。親らしい男は馬を牽《ひ》いて、其小供の群に声を掛けて通り、姉らしい若い女は細帯を巻付けた儘《まゝ》で、いそ/\と二人の側を影のやうに擦抜《すりぬ》けた。斯うして無智と零落とを知らずに居る穢多町の空気を呼吸するといふことは、可傷《いたま》しいとも、恥かしいとも、腹立たしいとも、名のつけやうの無い思をさせる。『吾儕《われ/\》を誰だと思ふ。』と丑松は心に憐んで、一時《いつとき》も早く是処を通過ぎて了《しま》ひたいと考へた。
『先生――行かうぢや有ませんか。』
と丑松はそこに佇立《たゝず》み眺《なが》めて居る蓮太郎を誘ふやうにした。
『見たまへ、まあ、斯の六左衛門の家《うち》を。』と蓮太郎は振返つて、『何処《どこ》から何処まで主人公の性質を好く表してるぢや無いか。つい二三日前、是の家に婚礼が有つたといふ話だが、君は其様《そん》な噂《うはさ》を聞かなかつたかね。』
『婚礼?』と丑松は聞咎《きゝとが》める。
『その婚礼が一通りの婚礼ぢや無い――多分|彼様《あゝ》いふのが政治的結婚とでも言ふんだらう。はゝゝゝ
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