ほ》さま/″\の燃料《たきつけ》を掻集めて呉れる。丁度そこには叔父も丑松も待合せて居た。男も、女も、斯の焚火の周囲《まはり》に集つたかぎりは、昨夜一晩寝なかつた人々、かてゝ加へて今日の骨折――中にはもう烈しい疲労《つかれ》が出て、半分眠り乍ら落葉の焼ける香を嗅いで居るものもあつた。叔父は、牛の群に振舞ふと言つて、あちこちの石の上に二合ばかりの塩を分けてやる。父の飼ひ慣れたものかと思へば、丑松も可懐《なつか》しいやうな気になつて眺《なが》めた。それと見た一頭の黒い牝牛は尻毛を動かして、塩の方へ近《ちかづ》いて来る。眉間《みけん》と下腹と白くて、他はすべて茶褐色な一頭も耳を振つて近いた。吽《もう》と鳴いて犢《こうし》の斑《ぶち》も。さすがに見慣れない人々を憚るかして、いづれも鼻をうごめかして、塩の周囲《まはり》を遠廻りするものばかり。嘗《な》めたさは嘗めたし、烏散《うさん》な奴は見て居るし、といふ顔付をして、じり/\寄りに寄つて来るのもあつた。
 斯の光景《ありさま》を見た時は、叔父も笑へば、丑松も笑つた。斯ういふ可愛らしい相手があればこそ、寂しい山奥に住まはれもするのだと、人々も一緒にな
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