であると言つてもよからうか。太平洋に就いて想ひ當るのは、最近讀んだものの中に見つけたブランデスの言葉だ。ブランデスは太平洋が地球の諸海洋に伍し占めてゐる地位に比《たぐ》へて、實に心にくいことを言つてゐる。『太平洋、則ち靜かなる大洋は、最大にして同時に最深の海洋である。併し實際に靜かなのは、唯その帶状の一部分に過ぎない。太平洋の北部と南部は、樣々の氣流や貿易風のために、絶間なく波濤を擧げてゐる。幾多の海潮、それの逆潮、暖流、寒流が流れ巡つてゐる。太平洋には、また他の海洋には無い地震の波動がある』とこんなことが言つてあるのだ。われらは東西の文化を包容し得る最も惠まれた位置にあつて、過去に蓄積したものだけでも既にかなりの深さに達してゐるからと言つて、現代の創造的諸精神が皆われらの中に流れ込んで來ると考へるほど己惚《うぬぼれ》の強いものではないが、すくなくも平和を愛し、また靜かさを愛することにかけては他のいかなる國民にも劣るものでないと信ずる。これ、われらの太平洋であり、靜かなる大洋である所以だ。しかし、われらが現に營みつゝある歴史と活動の中には、廣い和やかな一帶がある外に、強い嵐があり、暖流
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