とある。
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 眞に考へたことや感じたことは、どうしてそのまゝ書くべきものではないかの疑問が、早くも牧野少年の胸に宿つたのであらう。君自身の語るところによると、君は結婚以前に三度もの戀愛を經驗したが、手紙はまるで駄目で、どんな類ひの手紙を相手の娘から貰つても容易にそれに匹敵するやうなことが書けず、それでも夢中になつて書くには書いたが讀み返すと、いつも全身が砥石にかゝつたやうな堪らぬ冷汗にすり減つたといふ。さういふ情人を見る時の君はまた、つい默り勝ちで、思はず欠伸《あくび》をするやうなことになつたり、眞面目なことを言はなければならない場合にも、つい空呆《そらとぼ》けて横を向いたりするやうな始末であつて、そのために君の求めるものは酬いられず、皆失戀に終つたとも語つてある。
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『どんなに熱烈に思つてゐても、四角張つた特に拙い漢字で、戀しき君よ……などとは書けず、また徹底的に眞面目さうな表情で、屹度結婚しようネ――などとさゝやいて、手などは握れなかつた。私は、あのアメリカの娘(中學を終る頃にさかんに手紙のやりとりをしたアメリカ人の娘)に示した態度
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